第16回「中間処理こそ弁理士先生の力量が試される」
コラム
~元特許審査官のつぶやき~
エピファニー特許事務所様への寄稿
第16回「中間処理こそ弁理士先生の力量が試される」
弁理士先生は、主にクライアントである発明者が何をポイントにこの発明をしたのかを念頭に、新願の明細書を書いていると思います。
しかし、審査官から拒絶理由通知をもらった後、反論をする中間処理の書類を作成する際には、審査官の思考回路を読み解く作業が必要になってきます。
ここに弁理士先生の実力がわかりやすく出てくると思います。
正直に言えば、特許査定を取ること自体は難しい作業ではありません。
いかに限定せず、広い権利を、明細書記載の範疇で取得できるか?
これを実現するためには、一件一件全く異なるアプローチが必要であり、その方法は教科書には書かれていないのです。
拒絶理由を回避する補正をする際には、「当初明細書に書かれている技術的事項はどこまでなのか?」「審査官はどこまでの補正を認めてくれるのか?」を理解していることが、まず前提となります。この判断は審査官ごとにバラツキがあるので、究極には審査官の名前やキャリアを見ながらの判断が必要です。一方、一般的なリスクラインというものも存在しますので、ここは弁理士先生の感覚が大切になります。
次に、先行技術文献との差異を出す進歩性の感覚ですね。これはもう以前にも書きましたが経験がものを言うところです。進歩性の判断基準は正に審査の肝です。単に先行技術と差異を出すだけではクリアすることはできません。
最後に、審査官に直接もの申す意見書の書き方です。意見書はここ20年ほどで劇的に進化していると思います。逆に言うと、審査官の思考回路に合っていない意見書は全く響かない。拒絶査定をするとき、審査官はこの意見書に対して反論を書くので、意見書を重くすることが特許査定率の上昇につながります。請求項をあまり限定しなくても、意見書で特許にすることができる弁理士が本当に実力のある先生なのでしょう。
そんな先生に巡り会えたら、発明者も発明も幸せなのだと思います。
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