権利の移転について

query_builder 2024/06/18

特許権が設定登録された後の権利移転に関する手続きです。

特許権の移転は、特定承継と一般承継とに分かれますが、今回は特定承継について整理いたします。
※詳細は特許庁のHPをご参照ください。

特許権の移転を行う場合、「特許権の移転」又は「特許権の消滅」に該当しますので、特許原簿に登録する事項になります(特許法27条1項1号)。
特許権の移転に関する登録は、下記に説明する書面により申請が必要になります(特許登録令15条1項)。
また、特許権に関する登録は、土地の譲渡などと同様に、原則として登録権利者及び登録義務者が共同で申請する必要があります(特許登録令18条)。
ただし、登録権利者の単独申請も認められております(特許登録令19条)。この場合は、登録義務者から単独申請承諾書をもらうか、譲渡証書に登録義務者の単独申請承諾を記載してもらうことになります。
なお、特許権の移転においては、登録権利者とは特許権の譲渡を受ける者(譲受人)、登録義務者とは特許権を譲渡する者(譲渡人)、になります。

特許庁のHPに記載されておりますが、特許権者又は特許権者となる予定の者をA、B、Cとすると、下記のようなパターンがあります。


- a. 移転登録申請(A→B、AB→C)
- b. 一部移転登録申請(A→AB)
- c. 持分譲渡による持分移転登録申請(AB→A、AB→AC)
- d. 持分放棄による持分移転登録申請(AB→A)


現在の特許権者の特許権を全て第三者に移転する場合は、上記a、
現在の特許権者の特許権の一部を第三者に移転する場合は、上記b、
現在の複数の特許権者のうち一部の特許権者の特許権の持分を、特許権者の一部又は第三者に移転する場合は、上記c、
現在の複数の特許権者のうち一部の特許権者の特許権を放棄する場合は、上記d、
になります。

特許権の譲渡の手続きは、基本的には下記の書面が必要になります。
 ①特許権移転登録申請書
 ②譲渡証書又は持分放棄証書
 (押印が必要。ただし、電子特殊申請をする場合は押印の代わりに譲渡人の電子署名が必要。)
 ③譲渡人の印鑑証明書
 (譲渡証書等に押印した実印のもの。ただし、譲渡証書等を電子特殊申請により提出する場合は不要。)
 ④代理人による手続きを行う場合は、委任状(包括委任状)

※電子特殊申請による書面の提出も可能ですが、譲渡人の電子署名が必要となるため、基本的には書面での手続きをおすすめしております。

また、特許権者が複数である場合には、
 ⑤持分譲渡による共有者の同意書
が必要になる場合があります。(例えば、上記cのAB→ACのパターンにおいては、Aの同意書が必要。)

上記②には、特許権1件につき収入印紙¥15000分を貼付する必要があります。
また、上記③は、無体財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、商号及び著作権)の譲渡等に関する契約に該当しますので、金額が記載されている場合はその金額に応じた収入印紙を貼付します。金額が記載されていない場合は、収入印紙¥200分を貼付します(印紙税法第2条 別表第一)。

上記の①~④(必要に応じて⑤)を特許庁に提出することにより、特許権の移転に関する手続きが完了です。
おそらく代理人(弁理士、弁護士)が申請をすることになると思いますので、書面については代理人が準備してくれるとは思いますが、上記のような書面を準備する必要がある点をご留意いただければと思います。

なお、特許出願中において出願人を変更する場合は、上記の手続きではなく「出願人名義変更届」等を特許庁に提出する必要があります。権利化後の移転よりも特許出願中に「出願人名義変更届」等を提出するほうが、印紙代が抑えられますので、可能であればそちらで対応することをおすすめいたします。
ただし、権利化前も同程度の書面が必要になります。

ご不明点などございましたら弊所までお問い合わせください。
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